1.01 女性脳と男性脳

人間を生殖器の違いに基づき女性と男性の2種類に分けるのは非常に問題があります。昨今のLGBT問題が示すように、心がどちらになっているかが、本質的な答えです。ここで述べるレポートの中で示される女性・男性は必ずしも生物学的生殖器の有無には関係ありません。当然生殖器がもたらすホルモンの影響で、卵巣を有するホモサピエンスが女性脳を、精巣を有するホモサピエンスが男性脳を有する割合が多くなります。このホルモンによる影響を一番受けるのが、胎児が母親の胎内にいる時で、男性脳を有する胎児は猛烈な男性ホルモンに長期間さらされるのです。男性脳を有するよう運命づけられた胎児は、妊娠約6〜7週目になると、男性の胎児の性腺(後に精巣になる部分)から男性ホルモンを分泌し始め、成長する10か月の中の6か月以上をすさまじい男性ホルモンにさらされるのです。それが胎児の脳の発達に影響を与えないはずがないと考えるのは容易に推定できることです。しかしながら、相当な数の海外の研究者から、その影響について報告されているのにも関わらず、はっきりといえるのは、いまだフロイトの説くらいが現状です。ただここでは長期間生物学的に異常な作用を受けて生まれた新生児に男女平等な人間が生まれるはずがないと言える、と述べることにします。当然女性脳・男性脳の所有者は生まれながらに全く違う性格を持って生まれる事をこれは示唆しています。

したがって生殖器の違いや有無に関わらず、女性脳を持っている人間を“女性”、男性脳を持っている人間を“男性”として話を進めることにします。

生物学的には女性だけで子孫を残せる生物が多々おりますが、それらも環境に変化があると男性を作り始めるのが一般的です。中には受精した卵が孵化する時の環境温度で男性・女性が変わる生物も多々存在します。女性がいなくなると、男性が女性に変化し、子孫を作り始める生物も存在します。では何故男性が生まれるかというと、多様な子孫を発生させ、その中の誰かがグループ内で細菌感染や環境変化に対して生き残るチャンスを未来に与え、自らは戦い、食糧などの戦利品をグループ内に持ってくる、いわば使い捨ての、短期間生物がグループとして必要だからです。

 したがって、男性脳を有する人間は、特定のタスク(狩りや戦闘能力)において優れている一方、女性脳を有する人間は複数のタスクを同時に処理する能力(グループ維持能力)に優れているというのが一般的な認識となります。しかしながら、乳幼児は生まれるとすぐに、母親から乳を受け始め、その時点から第3脳の成長が始まります。この母親が持つ宗教観や生活は、生きるだけに必要な生物脳である第2脳をカバーするように、第3脳を発達させ男性脳でも心を作るのです。教育が発達した社会ほど、男性脳の女性脳化が進むのは当然でしょう。しかしながら、何の教育や保護を受けられない子どもたちが、そのまま育つと、日本でいう 「女の子は木の下でオママゴトをし、男の子はチャンバラをする」 ようになってしまいます。それは世界中同じで、逆に日本は男性脳が女性脳化している、数少ない教育発達国の一つなのです。

  ここで声を大にして言いたいのは、「近年の日本、草食男子の増加、男性の女性化が問題視されています。しかし、多少出生率が下がるかも知れませんが、戦いや虐殺をスポーツとして楽しむ男性脳(第2脳)が、女性脳化するのは大変好ましい事だ」 ということです。

  逆に近年、多様性とか男・女平等が重要視されてきたのが影響し、研究論文ですら、男性脳と女性脳の差は無いというようなものが発表されるようになってきました。しかし、現実を直視すると、明らかに男女の思考に違いがあります。その様な男女の思考に違いがないという論文は、「楽しくないのに、楽しいと演技したり、まずいのに旨い!という顔をしたりする」 テレビコマーシャルを見ているようで、痛々しさえ感じてしまうのが現状です。